過払い金は簡単に言うと「支払い過ぎた利息」のことです。支払い過ぎたお金なので、返してもらうのは当然の権利です。しかし過払い金請求するにしても「いくら戻るのか」はどうしても気になりますよね?
しかしインターネットで検索しても、その疑問に答えてくれるサイトは見つからないのではないでしょうか。
この記事では過払い金は「いくら戻るのか?」「どのくらい戻ってくる人が多いのか?」など過払い金の金額に関して具体的にご説明していきます。
過払い金はいくら戻る?
「自分の過払い金がいくら戻るか」目安がわかれば、過払い金請求がしやすくなるはずです。実際に請求した人達はいったいどのくらいの過払い金を取り戻せたのでしょうか?
過払い金はいくら戻る人が多い?
消費者金融のカードローンは借入前に必ず審査があり、限度額を設定されます。取引限度額は50万円で設定されている人が多いですが、過払い金は借りている金額が多いほど、取引期間が長いほど高額になる傾向があります。
50万円を10年ほど限度額いっぱい借りたり返したりを繰り返していると、目安として50~80万円の過払いが発生しているはずです。
ただし、借り入れをしている貸金業者によって過払い金の返還率は異なるので発生した過払い金全額が手元に戻ってくるわけではありません。また貸金業者が利用途中で法定金利に引き下げていた場合、過払い金は目安よりも少なくなります。
過払い金は平均いくら発生するか
過払い金は借りていた貸金業者によって返還率が違い、同じ過払い金が発生していても手元に戻ってくる金額が異なります。
ほんの一部ですが、司法書士法人中央事務所の過払い金の平均額をご紹介します。
カード | 過払い金平均額 |
プロミス | 111万円 |
アコム | 125万円 |
アイフル | 95万円 |
レイク | 116万円 |
セゾンカード | 48万円 |
オリコ | 68万円 |
イオンカード | 39万円 |
大手消費者金融のプロミス・アコム・アイフル・レイクは、現在返還率が比較的高いので、手元に戻ってくる過払い金も多い傾向にあります。ただし過払金は10年経つと時効になってしまうので、請求するなら早めに手続きしたほうがいいでしょう。
また上の表に所有しているカードが載っていない場合は、ぜひ司法書士法人中央事務所のホームページを覗いてみてください。より多くのカードの平均額を知ることができます。
司法書士法人中央事務所 クレジットカードの過払い金発生額(https://10-10-10.jp/card/)
過払い金の返還率
過払い金の返還率は貸金業者によって違います。また和解よりも訴訟をしたほうが多く返還されます。
業者 | 経営状態 | 和解の返還率 | 訴訟の返還率 |
アコム | 良好 | 80%~ | 100%~ |
プロミス | 良好 | 70%~ | ~100% |
レイク | 良好 | 80%~ | 100%~ |
アイフル | 良好 | ~60% | ~100% |
クレディセゾン | 良好 | 90%~ | 100%~ |
オリコ | 良好 | ~100% | 100%~ |
CFJ | 不安定 | 40%~ | 70%~ |
エイワ | 厳しい | 15%~ | 50%~ |
クレディア | 民事再生後も存続 | 10%~ | 70%~ |
ネットカード | 倒産 | × | × |
クラヴィス | 倒産 | × | × |
上の表でわかる通り、過払い金の返還率は貸金業者の経営状態に大きく左右されます。せっかく過払い金が発生していても、ネットカードやクラヴィスのようにすでに業者が倒産していると1円も戻ってきません。
過払い金請求にかかる費用
過払い金請求を弁護士や司法書士の事務所に依頼した場合かかる費用の相場をまとめました。
費用の項目 | 金額 |
相談料 | 30分 5,000円 |
着手金・基本報酬 | 20,000円/1社 |
成功報酬(過払い金返還報酬) | 過払い金返還額の20~25% |
解決報酬 | 20,000円 |
減額報酬(借金が減らせた場合に発生) | 借金が減った額の10% |
その他 | 郵送料・裁判費用など実費 |
なお、相談料や着手金を無料の事務所や費用が成功報酬のみの事務所もあり、依頼する事務所によって手元に戻ってくる金額はかなり変わってきます。事務所選びは慎重に行いましょう。
結局いくら戻るのか
過払い金の返還額はおもに以下の4つの要素に左右されます。
- 取引の金額
- 取引期間
- 借り入れた業者
- 依頼した事務所
以下の場合を例に、A事務所とB事務所に依頼した場合を比較してみましょう。
消費者金融 | アコム |
借入額 | 50万円 |
借入期間 | 10年 |
過払い金 | 50万円 |
A事務所 | B事務所 | |
過払い金返還額 | 40万円(50万円×80%) | |
相談料(30分) | 5,000円 | 0円 |
着手金・基本報酬 | 20,000円/1社 | 0円 |
成功報酬(過払い金返還報酬) | 8万円(40万円×20%) | 8万円(40万円×20%) |
解決報酬 | 20,000円 | 0円 |
手元に戻る過払い金 | 275,000円 | 320,000円 |
依頼する事務所が違うだけで45,000円も差額が出ることがわかります。また過払い請求の実績の豊富な事務所に依頼すると、通常より過払い金返還率が高くなる可能性があります。
過払い金はいくら戻るのかケースごとの概算
次に簡単な取引を例に挙げて、ケース別に過払い金の概算をしてみましょう。過払い金の仕組みがわかりやすくなるはずです。
ケース①:5万円戻る
先ほどのA事務所B事務所を例にとって概算してみましょう。
A事務所 | B事務所 | |
手元に戻る過払い金 | 5万円 | |
相談料(30分) | 5,000円 | 0円 |
着手金・基本報酬 | 20,000円/1社 | 0円 |
成功報酬(過払い金返還報酬) | 23,750円 | 12,500円 |
解決報酬 | 20,000円 | 0円 |
過払い金返還額 | 118,750 | 62,500円 |
A事務所の場合118,750円、B事務所の場合62,500円過払い金が返還されないと、手元には5万円戻ってきません。
さらに業者に当てはめてみると、以下の過払い金が発生していることになります。
業者 | 和解の返還率 | A社 | B社 |
アコム | 80% | 約15万円 | 約8万円 |
プロミス | 70% | 約17万円 | 約9万円 |
レイク | 80% | 約15万円 | 約8万円 |
アイフル | 60% | 約20万円 | 約10万円 |
上の表からわかるようにA事務所のような手数料がかかる事務所に依頼すると、過払い金が15万~20万円発生してもそのほとんどが事務所費用に消えてしまうことがわかります。
ケース②:20万円戻る
同じ場合を例にして今度は20万円戻ってくるときの過払い金を概算してみましょう。
A事務所 | B事務所 | |
手元に戻る過払い金 | 20万円 | |
相談料(30分) | 5,000円 | 0円 |
着手金・基本報酬 | 20,000円/1社 | 0円 |
成功報酬(過払い金返還報酬) | 61,250円 | 50,000円 |
解決報酬 | 20,000円 | 0円 |
過払い金返還額 | 306,250円 | 250,000 |
過払い金返還額はA事務所で306,250円、B事務所では250,000円になります。これを大手金融業者の返還率に当てはめてみましょう。
業者 | 和解の返還率 | A社 | B社 |
アコム | 80% | 約38万円 | 約31万円 |
プロミス | 70% | 約44万円 | 約36万円 |
レイク | 80% | 約38万円 | 約31万円 |
アイフル | 60% | 約51万円 | 約42万円 |
『過払い金はいくら戻る人が多い?』でご説明しましたとおり、過払い金の発生額は50万~80万円の人が多いです。事務所の費用などにもよりますが、1社20万円あたりが手元に戻ってくる過払い金の相場に近いと言えそうです。
ケース③:100万円戻る
最後に100万円戻ってくる場合の概算をしてみましょう。
A事務所 | B事務所 | |
手元に戻る過払い金 | 100万円 | |
相談料(30分) | 5,000円 | 0円 |
着手金・基本報酬 | 20,000円/1社 | 0円 |
成功報酬(過払い金返還報酬) | 261,250円 | 250,000円 |
解決報酬 | 20,000円 | 0円 |
過払い金返還額 | 1,306,250円 | 1250,000 |
A事務所1,306,250円、B事務所でも1,250,000円とかなり高額の過払金返還額です。
業者 | 和解の返還率 | A社 | B社 |
アコム | 80% | 約163万円 | 約156万円 |
プロミス | 70% | 約187万円 | 約179万円 |
レイク | 80% | 約163万円 | 約156万円 |
アイフル | 60% | 約218万円 | 約208万円 |
200万円近い過払い金が発生していることからかなり長期間の取引で元金も高額だったことがわかります。さらに和解ではなく訴訟をすれば、満額に利息がついて戻ってくる可能性もあります。こんな大きな額が戻ってくるならば、過払い金請求しないともったいないですよね。
過払い金がいくら戻るかケース別の計算のまとめ
あくまで概算ではありますが、手元に戻ってくる過払い金の平均は1社あたりだいたい20万円ほどとおわかりいただけたはずです。また同じ金額の過払い金を手元に取り戻すにしても、依頼する事務所の手数料や借り入れをした貸金業者の過払い金返還率で「発生していなくてはいけない金額」が変わってきます。
過払い金がいくら戻るか知る方法
過払い金がどのくらい戻ってくるのかを知るには「引き直し計算」をする必要があります。引き直し計算は専門家に依頼することもできますが、自分で計算することも可能です。
いくら戻るかの計算に必要な情報
過払金がいくら戻ってくるかを計算するためには、取引履歴を入手することが不可欠です。取引履歴とは「借入したり返済したりした日付や金額、金利などが記載されている書類」で、取引をした業者ごとに取り寄せる必要があります。
取引履歴は貸金業者の窓口や電話、郵送、インターネットなどで請求すれば入手可能で、業者によっては手数料がかかる場合もあります。
いくら戻るかの計算方法
過払い金はグレーゾーン金利で計算された利息から、現在の金利で計算しなおした利息を差し引けばわかります。
利息の計算式は以下になります。
元金×金利÷365×利用日数
つまり(元金×グレーゾーン金利÷365×利用日数)―(元金×現在の金利÷365×利用日数)で過払い金が計算可能です。
例えばC社から50万円を29.2%で借入れ、10年で完済した場合の過払い金を計算します。
(50万円×29.2%÷365×3650日)―(50万円×18%÷365×3650日)
=146万円-90万円
=56万円
56万円の過払い金が発生していることがわかります。
しかしなかには「計算が面倒くさい」という人もいるでしょう。そのような人向けに簡単に過払い金のわかる「過払い金シミュレーション」が様々な事務所のサイトに掲載されています。
また実際の取引は途中で借入金を増やしたり金利が変わったりしているため、上記の計算式だけでは正確とは言えません。より精密に計算するならば、無料の過払い金の計算ソフトを使うのもいい手段です。
以下のサイトに過払い金の計算・シミュレーションページをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
過払い金の計算・シミュレーションページのおすすめ4選
過払い金請求でおすすめの事務所とは
過払い金請求ができる弁護士・司法書士事務所はたくさんあり、どれも同じように見えますよね。
しかし、安易に事務所を選んでしまうと、途中で信用できなくなったり損する結果になったりして、嫌な思いをする可能性もあります。
そこで、損するリスクを回避して、スムーズに過払い金請求をするための事務所選びのコツを2つご紹介します。
過払い金に特化した事務所を選ぶ
過払い金請求や借金問題を専門的に扱う事務所は、回収金額や解決案件数の実績が豊富です。
蓄積されたノウハウがあるので、戻ってくる過払い金の金額が多い傾向にあり、さまざまなニーズに柔軟に対応してくれます。プライバシー配慮なども厳重に行ってくれます。
経験豊富だと「相談しやすい」と感じるかたも多いでしょう。
初期費用なしの事務所を選ぶ
もし請求したのに過払い金が返ってこなければ、手持ちから相談料と着手金を払う必要が出てきます。
そうならないため、初期費用(相談料と着手金)が無料の事務所を選びましょう。過払い金が返ってこない限り、費用は発生しません。
無料相談はちゃんとしていないんじゃないか?と心配になる方もいるかもしれません。しかし無料相談とはいえ、実際に利用した人の声をきいてみると有料の相談と比べて遜色ありません。
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記事まとめ
過払い金がいくら戻ってくるのか、平均や目安について説明してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
過払い金は自分で計算することは可能ですが、計算間違いなどのリスクがあります。本当に過払い金請求を検討しているのなら、専門家に相談するのが一番です。