法テラスは「全国どこでも法的トラブルを解決できるように」と設立されました。現在は都道府県50か所に事務所が設置されており、無料で法律相談などの支援が受けることができます。
しかし「法テラス」という名前は聞いたことがあっても「具体的にどのようなことができるのか」「無料に条件はあるのか」など、知らないことは多いですよね。
今回は、法テラスの利用条件や対応してもらえる範囲を詳しくご紹介していきます。法テラスが本当にお得かどうかまでおわかりいただけるので、ぜひ最後までご覧ください。
法テラスは無料でどこまでできる?
法テラスとは「全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会の実現」を理念のもとに設立された、国民向けの法的支援を行う機関です。正式には「日本司法支援センター」といいます。
簡単に法テラスの業務の流れをご紹介しましょう。
- 法テラスが利用者から様々な法的な悩みを受ける。
- 相談内容に応じた法制度や法テラスが行っているサービス、専門的に相談できる機関を案内する。
国や各自治体と、弁護士会・司法書士会などの専門機関と連携し、利用者の悩みを解決する橋渡し的な役目を担っています。
▼そもそも法テラスとはどんな存在なのか知りたい方はこちらの記事がおすすめ
法テラスとは?知恵袋の本音を解説【債務整理・過払い金】
▼法テラスのホームページはこちら
https://www.houterasu.or.jp/
無料相談は何回まで?
法テラスでは条件を満たせば、1つの問題に対して3回まで無料で相談できます。1回の相談時間は、30分が目安です。また法テラスでは、無料でも弁護士や司法書士といった法律の専門家が相談を受けてくれます。ただし利用者が、特定の弁護士や司法書士を指名することはできません。
相談以外に無料でできること
法テラスで個人が無料で相談以外に受けられるサービスは、おもに「情報提供」「民事法律扶助」「犯罪被害者支援」の3つです。
- 情報提供…利用者の問い合わせ内容に応じて、法制度に関する情報や相談機関などに関する情報を提供してくれます。「将来のトラブルに備えておきたい」といった予防策にも対応可能です。
- 民事法律扶助…経済的に余裕のない人が、法的なトラブル解決のための手続きなどが難しいときに援助してくれます。無料相談も民事法律扶助の一つです。また法テラスでは、弁護士・司法書士の費用の立て替えも可能です。立て替えられた費用は、毎月分割で返済していくことができます。
- 犯罪被害者支援…犯罪被害者やその家族が支援を受けられるよう、被害に関する刑事手続きに関わったり、心身の回復・軽減を図るための法制度の情報を提供したりします。
法テラスでもお金がかかること
法テラスでは条件さえ満たしていれば、3回まで法律相談は無料です。もし無料相談の条件を満たしていなかった場合でも、30分5,000円で法律相談をすることができます。
また法律相談後実際に弁護士や司法書士に依頼をした場合、費用がかかります。依頼費用を払うのが困難なときは法テラスが立て替えてくれるので、毎月5,000~10,000円の分割で支払っていくことも可能です・
さらに法テラスの法テラス・サポートダイヤルに問い合わせをした場合、相談料は無料ですが以下の通話料が掛かります。
法テラス・サポートダイヤル
受付時間:平日の9~21時、土曜日の9~17時(祝日・年末年始除く)
電話番号 | 通話料(税込) |
---|---|
ナビダイヤル 0570-078374 | 固定電話からの場合…3分9.35円 携帯電話からの場合…20秒11円程度 公衆電話からの場合…1分11円 ※IP電話・プリペイド携帯・海外からは利用不可 |
03-6745-5600 | IP電話からの場合…3分約9.24円 |
法テラスは誰でも無料?
法テラスの相談は誰しも無料というわけではなく、いくつかの条件を満たしないなければいけません。また法律相談の予約は、法テラスが条件をクリアしているかどうか確認したのちにすることができます。思いたったその日に相談できるわけではないので、ご注意ください。
法テラスのホームページには、無料法律相談を受けられるかご自身で確認できるページもあるので、ぜひ試してみてください。
法テラス要件確認体験ページ
法テラスを無料で利用できる条件
条件①日本に住所がある人
第一の条件は国籍に問わず、日本に住所があることです。違法に在留している外国人は法テラスを利用することができません。
また日本に住所があっても、法人や組合などの団体は対象外になります。
条件②収入が一定額より少ないこと
法テラスの無料相談では、「収入要件」と「資産用件」の両方を満たす必要があります。
収入用件
収入要件は、相談希望者の賞与を含む手取りの月収額の要件です。もし配偶者と共働きの場合は本人と配偶者の収入の合算、配偶者のみ収入がある場合は配偶者の収入が要件となります。ただし離婚問題などで配偶者が相手方になる場合は、合算しません。
人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 |
---|---|---|---|---|
手取り月収額 | 182,000円以下 | 251,000円以下 | 272,000円以下 | 299,000円以下 |
家賃又は住宅ローンを 負担している場合の加算額 | 41,000円以下 | 53,000円以下 | 66,000円以下 | 71,000円以下 |
「生活保護一級地」に定められている都市では、通常より収入要件が高めに設定されています。
お住まいの地域が生活保護一級地かどうかは、こちらを参照してください。
【生活保護一級地の場合】
人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 |
---|---|---|---|---|
手取り月収額 | 200,200円以下 | 276,100円以下 | 299,200円以下 | 328,900円以下 |
家賃又は住宅ローンを 負担している場合の加算額 | 53,000円以下 | 68,000円以下 | 85,000円以下 | 92,000円以下 |
資産要件
資産要件は相談希望者の資産に関する要件です。自宅以外の不動産や有価証券などの資産を持っている場合、その時価と現金預貯金の合計が以下の表に当てはまらなければなりません。配偶者に資産がある場合それも対象になりますが、離婚問題などで配偶者が相手方なら合算の必要はありません。
人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人以上 |
---|---|---|---|---|
資産 | 180万円以下 | 250万円以下 | 270万円以下 | 300万円以下 |
条件③「民事法律扶助」の趣旨に適していること
民事法律扶助とは先に述べた通り、「経済的に余裕のない人が、法的なトラブル解決のための手続きなどが難しいときに援助すること」です。これに反した趣旨の相談は受け付けてもらえません。「報復感情を満たす」「宣伝目的」「権利濫用的な訴訟」などは対象外になります。
法テラスが無料なのはなぜ?
「法テラスは無料で法律相談をしてどうして潰れないの?」「立替金はどこから出てるの?」と不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。法テラスには相談に乗ってくれる弁護士・司法書士のほかにも職員がいます。一部有料の法律相談もありますが、それだけで運営していくことは到底できませんよね。
法テラスは民事法律扶助や国選弁護の関連業務といった、国民の権利や利益に関わる大切な業務を行っています。そのため約7割のお金を国費で賄い、運営しています。また一般の方からの寄附金などの自己収入もあるようです。
法テラスは役に立たない?
インターネットで法テラスを調べると、「法テラス 役に立たない」といったワードが出てきます。無料で相談できるだけでも便利だといえそうですが、法テラスは本当に役に立たないのでしょうか?
ここでは、法テラスで過払い金請求をするときのメリット・デメリットをご紹介していきます。
法テラスのメリット
法テラスでの過払い金請求を依頼すると、かかる費用を明確にすることができます。
過払金請求する 貸金業者の数 | 実費 | 着手金 |
---|---|---|
1社 | 10,000円 | 33,000円 |
2社 | 15,000円 | 49,500円 |
3社 | 20,000円 | 66,000円 |
4社 | 20,000円 | 88,000円 |
5社 | 25,000円 | 110,000円 |
また過払い金が回収できた場合は、別途報酬金が発生します。
法テラスのデメリット
法テラスは過払い金請求の金額が明確な代わりに、事務所に直接依頼するよりもかかる費用が高くなる可能性があります。
というのも法テラスに依頼した場合、過払い金の有無に関わらず必ず着手金と実費がかかります。しかし事務所の場合、「相談料・着手金無料」「完全成功報酬制」のところもあるからです。
例えば過払い金が1社で20万円回収した場合、法テラスと完全成功報酬制のA事務所で比較してみましょう。
費用 | 法テラス | A事務所 |
---|---|---|
実費 | 10,000円 | 0円 |
着手金 | 33,000円 | 0円 |
過払い金報酬 | 30,000円 (回収額の15%) | 40,000円 (回収額の20%) |
合計 | 73,000円 | 40,000円 |
A事務所のほうが法テラスよりも過払い金報酬額は大きいです。しかし手元に戻ってくる過払い金はA事務所のほうが多く、結果的にお得になるのが明らかです。
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法テラスを通しての依頼を弁護士はどう思う?
法テラスを通して弁護士に依頼すると相談料が無料になったり着手金が安くなったりするので、弁護士費用全体がかなり安くなります。普通に考えると「儲け」が少なくなるので、嫌がられてしまいそうですよね。
しかし法テラスからの依頼は「弁護士から嫌がられる」とは一概に断定することはできません。というのも2006年以降新制度の導入により弁護士が増え、逆に弁護士1人当たりの収入は大きく減る傾向になったからです。つまり収入の厳しい弁護士にとって法テラスを通しての依頼は、決して小さくない収入源になります。
よって法テラスを通した依頼をどう思うかは、「依頼する弁護士次第」といえるでしょう。
債務整理するなら実績の豊富な事務所がおすすめ
債務整理ができる弁護士・司法書士事務所はたくさんあり、どれも同じように見えますよね。
しかし、安易に事務所を選んでしまうと、途中で信用できなくなったり損する結果になったりして、嫌な思いをする可能性もあります。
そこで、損するリスクを回避して、スムーズに債務整理をするための事務所選びのコツを2つご紹介します。
債務整理に特化した事務所を選ぶ
相談するなら債務整理に特化した司法書士・弁護士事務所がおすすめです。借金問題を専門として扱う事務所は、実績が豊富で、きちんと対応してくれる傾向にあります。
利用する安心感も違いますし、解決のスムーズさも違うでしょう。トラブルに巻き込まれるリスクも減らすことができます。
相談が無料の事務所
わざわざ事務所へ出向き、お金をかけて債務整理の相談をしても、借金減額に至らなければ損をするだけになってしまいます。
債務整理は、法律相談を無料で行っている事務所がおすすめです。
無料相談は質が低いのでは?と心配になるかもしれません。しかし無料相談とはいえ、実際に利用した人の声をきいてみると有料の相談と比べて遜色ありません。
債務整理におすすめの事務所4つ
債務整理の実績が豊富で、相談無料の事務所のなかで、おすすめの事務所を4つ紹介します。
中央事務所は過払い金請求で有名ですが、債務整理にも力を入れている事務所です。
どの事務所も全国対応なので、地方の案件でも柔軟な対応が可能です。