払い過ぎたお金が戻ってくる「過払い金」。そんなうまい話には裏があると、お考えの人もいらっしゃいますよね?
確かに身近に「過払い金戻ってきました!」という人を見かけることはなく、CMにある体験者の声は「捏造ではないか」「詐欺ではないか」と疑ってしまう気持ちは大いにわかります。しかしもし自分に過払い金で大金が戻ってきたら、大声で言いふらすことはないはずです。
これだけでは疑い深い人にとって、過払い金請求に裏がないという根拠に乏しいかもしれません。そこで今回は過払い金請求には裏があるのか?について詳しく解説していきます。
過払い金請求には裏がある?
過払い金には裏がある、過払い金は怪しいといわれてしまうのには理由があります。実際に裏があるわけではありませんが、裏があると感じてしまう人もいるようです。
過払い金請求には裏があるといわれる理由
- 過払い金請求のCMだけでは過払い金の全ては語れない
- 過払い金請求の説明が下手な事務所がある
- 過払い金請求のデメリットを隠す悪質な事務所がある
過払い金請求は「法律で認められた正当な権利」です。その代わりに、借入期間や時効など様々な条件があります。それをテレビCMの短い時間に全て詰め込むのは困難です。
また過払い金請求の実力は事務所によって様々で、なかには「過払い金請求に不慣れな事務所」や「とにかく過払い金のいいところばかり説明する事務所」もあります。
このようなことがある限り「過払い金には裏がある」という声が出るのは、仕方のないことなのでしょう。
過払い金請求のCMの裏
過払い金請求のCMでは語られていない「裏」と言われる部分をご紹介していきます。詳しく知りたいときは、過払い金請求を行っている事務所に相談してみるのもおすすめです。
無料を強調しているが、完全無料ではない
まず「裏」だと多くの声があがっているのは、「完全無料ではない」ということです。CMでは「相談料・着手金無料」というフレーズが聞かれます。現在よくテレビCMをしているみどり法務事務所、中央事務所、アディーレ法律事務所の完済している借金の費用について比較してみましょう。
事務所名 | みどり法務事務所 | 中央事務所 | アディーレ法律事務所 |
相談料 | 0円 | 0円 | 0円 |
着手金 | 0円 | 0円 | 0円 |
報酬 | 要問合せ | 要問合せ | 基本報酬66,000円 + 話し合いで解決 回収額の22% 訴訟で解決 回収額の27.5% |
※いずれも過払い金が発生しなかった場合の費用は0円です。
CMをしている事務所に関しては、ちゃんと無料になっていることがわかります。
ただしCMはあくまで「その事務所のCM」であって、「過払い金請求を受けている事務所全体のCM」ではありません。CM以外の事務所が有料でも悪いことではないので、誤解のないようにしましょう。
過払い金請求の条件が厳しい
過払い金請求のCMでは、過払い金請求の条件を伝えきれていないのは事実です。
過払い金が発生する最低条件は以下になります。
- 借入開始が2010年6月17日以前
- 利息制限法の上限金利以上の金利で借りている
- 取引終了(完済)から10年経過していない
また業者によって「2007年よりも前に借り入れていないと過払い金が発生しない」「すでに倒産してしまっているので、過払い金を取り戻せない」など細かな条件があります。さらに借金の返済中に過払い金請求をするとなると、その条件はより複雑です。
詳しくは専門家が直接相談しなければわからないことも多いので、CMで条件を伝えるのをあえて控えているようです。
デメリットもある
過払い金請求にもたった一つだけデメリットがあります。それは「過払い金請求の対象にした貸金業者のカードが、使えなくなる可能性がある」ことです。
過払い金請求をすると、その対象にした貸金業者の「社内ブラック」になることがあります。社内ブラックになると、その会社のクレジットカードが使えなくなったり、新規のローンやカードの契約ができなくなったりします。
しかし「社内ブラック」は名前の通りその会社でのブラックリストであって、信用情報機関とは全く関係ありません。他の会社のクレジットカードやローンの利用には何ら影響がないので、安心してください。
営業電話がしつこい
「気軽に相談してください」「相談料は何回でも無料」など、CMでは相談へ誘導するフレーズが流れています。そんなCMに誘われて相談したところ、事務所からしつこく電話がくるということがあるようです。
兎に角しつこい
過払い金返還請求無料と言っても有料範囲を勧める
断っても他の人から何度も連絡が来る
引用元:電話帳ナビ https://www.telnavi.jp/phone/0120101010
ネットで過払いを調べれないか調べてたら、『数分で調べれます』とあり、指示されるまま電話番号を打ち込んだら『お電話させて頂きます』と表示され、数日おきに時間を変えて電話をしてくる(出てはいない)。電話かけるとわかってたら番号は打ち込まなかった。
引用元:電話帳ナビ https://www.telnavi.jp/phone/0120506070
このように何度も電話がくるかもしれません。しかしこれはあくまでも「過払い金が発生しているのに、もったいない」という気持ちからです。せっかく過払い金があることがわかっていても、時効を迎えてしまったら二度と取り返すことはできません。
もし連絡が必要なければ、一言「連絡不要」と伝えてください。電話はピタリと止むはずです。
過払い金請求でブラックリストに載ってしまう?
債務整理のブラックリストとは「信用情報機関」のことです。債務整理でブラックリストに載るのは「任意整理」「個人再生」「自己破産」です。過払い金請求でブラックリストに載ることはありません。
返済中の借金の過払い金請求を依頼すると、過払い金が発生するどころか借金が残ってしまうことがあります。これは過払い金請求ではなく「任意整理」という手続きです。
任意整理になる可能性がある場合、通常は依頼前に事務所から説明があります。しかし「過払い金請求に慣れていない事務所」や「悪質な事務所」では、任意整理になるリスクについて説明不足だったり説明をしなかったりすることもあるようです。
このようなことがあると「過払い金請求をして、ブラックリストに載せられた」という間違った情報が流れてしまいます。
過払い金ビジネスの裏
過払い金ビジネスとは、「事務所がたくさんの広告を出して集客を行い、事務員を使って流れ作業のように大量の案件をこなすビジネス」のことです。
過払い金ビジネスには、次のような「裏」があります。
- 依頼前の面談で弁護士や司法書士が会ってくれない
- 過払い金請求の手続きを全て事務員に丸投げしている
- 戻ってくる過払い金が相場より少ない
- 時間がかかる過払い金裁判をしない
- 費用が相場より高い可能性がある
- 依頼前に「任意整理」になるリスクを伝えない
「CMをしている=過払い金ビジネスをしている」のではないので、ご注意ください。かといって「事務員に丸投げ」や「裁判をしない」などを、依頼前に見極めるのは難しいですよね。
面談時に「面談時に直接専門家と話ができる」「デメリットやリスク、費用について明確な説明がある」事務所であれば、過払い金ビジネスの可能性はかなり低いです。
事務所選びのコツ
過払い金請求の事務所選びのコツをご紹介します。これから過払い金請求を検討される方はぜひ参考にしてください。
【事務所選びのコツ】
- 相談料・着手金無料の事務所
- 完全成功報酬制の事務所
- 面談は直接弁護士や司法書士が対応してくれる
- デメリットやリスク、費用について明確な説明がある
- 過払い金請求を専門に扱っている
- 依頼実績が豊富(HPで確認)
「相談料・着手金無料」「完全成功報酬制」なら過払い金請求にかかる費用を抑えることができます。また専門家が直接面談し、デメリットや費用について明確な説明をしてくれれば、過払い金請求に対する不安が解消できるはずです。
さらに過払い金請求を専門に扱い、実績の豊富な事務所には蓄積されたノウハウがあります。貸金業者ごとの特徴を知り尽くしているので、相場より多くの過払い金を取り戻すことが可能です。
過払い金請求はしないほうがいい?
過払い金請求は可能な限りしたほうがいいです。ここでは過払い金が「おすすめでない人」と「おすすめの人」をそれぞれご紹介していきます。
過払い金がおすすめでない人
【過払い金がおすすめでない人】
- 過払い金請求の対象になる貸金業者のカードを使い続けたい人
- 借金を返済中の人
- 事務所を「怪しい」「胡散臭い」と思っている人
過払い金請求をすると、対象になった貸金業者のカードは使えなくなります。過払い金は発生しているとわかっても、そのカードを使い続けていたい人に過払い金請求はおすすめできません。また借金返済中の過払い金請求は、「任意整理」に方針変更になる可能性があります。返済中に過払い金請求をするときは専門家の話をよく聞き、リスクを承諾したうえで依頼してください。
事務所を怪しんでいる人にも過払い金請求はおすすめしません。事務所への依頼は「事務所と依頼人の信頼関係」が大切です。信頼がないと「なかなか過払い金が戻ってこない」「費用を水増しされているのではないか」など、手続き途中に不信感を抱くことになります。
過払い金がおすすめの人
【過払い金がおすすめの人】
- 借金を完済している人
- 自分に合った事務所を見つけられた人
借金を完済してからであれば信用情報機関に事故情報は載らないので、安心して過払い金請求することができます。
また過払い金請求の事務所選びのコツは先ほど述べました。加えて「親身」や「対応が早い」といった、自分に合った信頼できる事務所を見つけることも重要です。信頼し切れない事務所だと途中で解約して他の事務所に依頼し直すことになり、かえって費用がかかってしまうことも考えられます。せっかくお金が戻ってくるのに、無駄な費用がかかるのはもったいないですよね。事務所選びはくれぐれも慎重に行ってください。
記事まとめ
過払い金請求の裏についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
過払い金請求自体に裏はありません。しかし短いCMでは伝えきれないことや、ちゃんと伝えない事務所があるばかりにどうしても「裏」と思われる部分ができてしまいます。
過払い請求を失敗しないためには、過払い金請求の「裏」もしっかり理解しておくことが必要です。今から過払い金請求を検討しているならば、「実績が豊富」・「専門家が直接面談してくれる」・「費用が安い」事務所に相談してみてください。