債務整理とは、借金を減額したり、支払いに猶予を持たせたりすることにより、借金のある生活から解放されるための手続のことです。
債務整理にはいくつか種類がありますが、主な手続きは4種類です。
この記事では、債務整理の4種類の違いと、それぞれのメリット・デメリット、どの手続きを選んだらいいのかを紹介していきます。
債務整理の4つの種類とは
借金を減額する目的で行われる債務整理の種類には、任意整理、個人再生、自己破産と特定調停の4つがあります。
各手続きの概要は以下の表のとおりです。
概要 | 手続きの種類 | メリット・デメリット | |
任意整理 | 将来の利息をカット | 私的な交渉 | ◎1社から選んで整理できる △減額率は低め |
個人再生 | 借金を5~10分の1に減額 | 裁判手続 | ◎借金を大幅に減らせる △費用が高い |
自己破産 | 借金を免除 | 裁判手続 | ◎借金が免除される △財産や収入などに制限あり △費用が高い |
特定調停 | 将来の利息をカット | 裁判手続 | ◎費用が少なく済む △合意に至る確率が低い |
どの方法が向いているかは、借金の金額や収入、財産の有無によって異なります。次の章からはそれぞれの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
任意整理とは
任意整理とは、弁護士や司法書士が代理人となり、貸金業者やクレジットカード会社と交渉することで、将来発生する利息のカットや返済期間の延長を行い、借金の負担を軽減する手続きです。
任意整理メリット・デメリットを詳しく紹介していきます。
メリット
- 借金完済のゴールが見え将来への不安が軽減されることで、ストレスが減る
- 整理する借入先を1社から選べる
- 裁判所を通さないので簡単
精神的に楽になる
借金が減額され完済までの見通しが立つと、物理的な負担もそうですし、精神的な負担が激減します。任意整理では、収入と支出を照らし合わせて無理のない3~5年での返済計画を立てます。そのため特別なことが起こらない限りは、確実に返済を終えることができます。
整理する借入先を1社から選べる
任意整理では、整理する借入先を1社から自由に選んで行うことができます。
車のローンや保証人のついている借入など、払い続けたいものは除いて任意整理を行うことが可能です。
裁判所を通さないので簡単
自己破産や個人再生のように裁判所を介する必要がないため、手続きが比較的簡単で、時間も短縮できます。また、自己破産や個人再生では官報に掲載されますが、任意整理はその必要がないため、家族や会社に知られにくい債務整理の方法です。
デメリット
- 元本自体の減額はできない
- ブラックリストに載り、クレジットカードや借入の利用ができなくなる可能性がある
- 500万円以上の高額な借金には向かない
元本自体の減額はできない
任意整理は、あくまで利息のカットや返済期間の調整が目的であり、借金の元本そのものを減らすことはできません。そのため、多額の借金がある場合は、個人再生や自己破産を検討する必要があります。
ブラックリストに登録される
任意整理をはじめ、自己破産や個人再生の場合も、信用情報機関、いわゆるブラックリストに登録されることは免れません。
登録がなされると、返済中と返済後5~10年程度は基本的に信用取引を行うことができません。つまり約8~15年の間はクレジットカードが使用できず、ローンを組むことができません。
任意整理をする方は皆さん、クレジットカードの代わりに、デビットカードやプリペイドカード、家族カードなどを使用します。クレジットカードとあまり変わりなく使用できるため、問題ないと感じる方も多いようです。
500万円以上の多額の借金には向かない
任意整理は、借金を減額できますが、あくまでも将来の利息をカットするだけであり、残りは返済する必要があります。減額された後の借金を3~5年で返済する能力があると認められた場合のみ手続きを行うことが可能です。
そのため、借金が多額で「これだけの金額をこの収入で返済するのは厳しいのでは…?」と判断されると、任意整理が認められません。
よって収入と借入の金額が見合わない場合、次に個人再生を考えることとなります。
任意整理が向いている人
以下のような状況の人は、任意整理を検討する価値があります。
- 借金の総額が比較的少なく、利息負担が大きい人
- 住宅ローンや車のローンは残したいが、カードローンの負担を減らしたい人
- 借金の返済が厳しくなってきたが、自己破産は避けたい人
個人再生とは
個人再生は、裁判所を通して借金を5~10分の1に減額する手続きです。借入総額は5000万円以下が対象です。
個人再生には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- 借金を大幅に減額できる
- 住宅を守れる
- ギャンブルや浪費が原因の借金も整理できる
- 職業・資格の制限がない
借金を大幅に減額できる
個人再生を利用すると、最大で5分の1まで借金を減額できます。たとえば、500万円の借金が100万円まで減る可能性があります。
住宅を守れる
「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンをそのまま支払いながら、その他の借金のみを減額することができます。これにより、自宅を手放さずに借金を整理できます。
ギャンブルや浪費が原因の借金も整理できる
自己破産では免責が認められない「ギャンブル・投資・浪費による借金」も、個人再生なら手続きの対象となります。
職業・資格の制限がない
自己破産では弁護士・司法書士・警備員など一定の職業に制限がかかりますが、個人再生ではそうした制限がありません。
デメリット
- 手続きにかかる費用が数十万円と比較的高い
- 保証人に返済義務が移る
- 官報に氏名や住所が掲載される
- 手続きに時間がかかる
- 会社による書類の発行が必要
手続きにかかる費用が数十万円と比較的高い
個人再生の費用相場は約70万円以上です。裁判所に払う費用が20万円~、弁護士費用が50万円~というのが内訳です。ただしこれらの費用は借入総額や債権者数、依頼する事務所、個人の状況などによって異なります。
保証人に請求がいく可能性がある
個人再生では、借金の減額が決定しても、保証人がいる場合は、保証人に対して残りの借金が請求される可能性があります。
官報に氏名や住所が掲載される
個人再生や自己破産をすると、官報に氏名や住所などが掲載されます。これ自体はデメリットですが、会社にせよ個人にせよこの情報をチェックしている人はほとんどいないと言われています。よって官報に載ることによって周りや会社にバレる可能性は低いと言えます。
手続きに時間がかかる
個人再生は、債務整理の中で最も複雑な手続きで、終わるまでに時間がかかるというデメリットがあります。
まず申し立ての準備に数か月かかり、申立てを行ってから個人再生手続きの開始が決定されるまでは約1ヶ月かかります。その後、再生計画案が認可されるまで約5か月かかります。つまり準備から完了まで短くても半年以上はかかる手続きだということです。
会社による書類の発行が必要
個人再生と自己破産では、財産を明らかにする必要がありますが、退職金は財産のひとつとして考えられます。よってお勤め先から退職金見込額証明書等を取得する必要があります。
この書類を取得すること=債務整理とは限らないですが、理由を聞かれるでしょう。うまく別の事情で欲しいと説明すれば、債務整理を知られずに済みます。
個人再生が向いている人
以下のような状況の人は、個人再生を検討する価値があります。
- 多額の借金があり、減額が必要な人
- 住宅ローンがあり、自宅を手放したくない人
- 収入が安定しており、返済計画を立てられる人
- 自己破産は避けたいが、借金整理をしたい人
自己破産とは
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、借金をゼロにするための債務整理の方法です。返済の継続が困難な場合の最終手段として利用され、多額の借金に苦しんでいる人にとって大きな救済となります。
ただし、財産の処分や信用情報への影響などのデメリットもあるため、慎重な判断が必要です。ここでは、自己破産の仕組みやメリット・デメリット、手続きの流れについて詳しく解説します。
メリット
- 借金が免除される
- 勤め先から解雇されることはない
借金の返済義務がなくなる(免責)
自己破産が認められると、ローンやカード債務、消費者金融の借金など、ほぼすべての債務が免除されます。これにより、借金の返済に追われることなく、新たな生活をスタートすることが可能になります。
勤め先から解雇されることはない
すべての債務整理に共通ですが、債務整理を理由に解雇することは法律で禁じられています。よって万が一知られてしまったとしても、心配する必要はありません。ただ信頼されなくなってしまうなど仕事がやりにくくなることは考えられます。
周りに知られたくない方は、早めに専門家に相談して慎重に手続きを行うことがおすすめです。
デメリット
- 財産(不動産など20万円以上のもの)は処分される可能性がある
- ギャンブルが原因の借金は対象にならない
- 資格制限(職業制限)がある
- 官報に氏名・住所が掲載される
- 郵便物が管財人に転送される
財産の一部を処分する必要がある
自己破産では、20万円以上の財産(不動産・高額な預貯金・自動車・株式など)を処分する必要があります。ただし、生活に必要な最低限の財産(99万円以下の現金や家財道具など)は手元に残せます。
ギャンブルが原因の借金は対象外
個人再生とは異なり、自己破産ではギャンブルや投資の失敗、浪費による借金は免責の対象外となることがあります。この場合、債務整理の手段としては個人再生を検討する必要があります。
資格制限(職業制限)がある
自己破産をすると、3か月~半年間ほど、一部の職業に就けなくなります。一部の職業というのは、以下のようなものが挙げられます。
卸売業者、貸金業者、行政書士、警備員、警備業者、建築士事務所開設者、建設業、公認会計士、質屋、司法書士、社会保険労務士、商工会議者会員、人事官、生命保険募集人、税理士、損害保険代理店、宅地建物取扱主任者、宅地建物取扱業、中小企業診断士、通関士、土地家屋調査士、廃棄物処理業者、不動産鑑定士、弁護士、弁理士、遺言執行者、旅行業務取扱主任者、旅行業者
官報に氏名・住所が掲載される
自己破産をすると、国が発行する「官報」に氏名や住所が掲載されます。ただし、一般の人が官報をチェックする機会はほとんどないため、周囲に知られるリスクは低いといえます。
自己破産が向いている人
以下の特徴がある人は自己破産が向いています。
- 借金の返済が困難で、返済の見込みがない人
- 収入がなく、借金を減額しても支払えない人
- 他の債務整理(任意整理・個人再生)が適用できない人
- 資格制限を受けても支障のない職業の人
特定調停とは
特定調停は、裁判所が仲介役となり、借金の返済条件を債権者と交渉するための手続きです。債務者が自ら申し立てを行い、裁判所の調停委員が話し合いを進めるため、弁護士を雇う必要がなく、比較的低コストで利用できる点が特徴です。
ただし、調停が成立しない場合や、思ったほど借金が減額されないケースもあるため、メリット・デメリットをしっかり理解することが重要です。
メリット
- 費用がリーズナブルである
- 財産を失わずに済む
費用が安く、手続きがシンプル
特定調停は、裁判所を通す手続きの中でも費用が非常に安いのが特徴です。弁護士費用が不要で、申立費用も数千円程度で済みます。
財産を失わずに済む
自己破産とは異なり、自宅や車などの財産を手放す必要がないため、日常生活に大きな影響を与えることなく借金を整理できます。
デメリット
- すぐに督促をストップできない
- 計画通りの返済を怠ると、強制執行
- 不調に終わる可能性がある
- 思ったように借金が減らないことも
- 借金がなくならない場合はブラックリストに登録される
これらのデメリットのうち、大切な3つを詳しく解説します。
計画通りの返済を怠ると、強制執行
任意整理は、裁判所を通した手続きではないため、強制執行はできません。一方で特定調停は裁判手続であるため、万が一返済が滞った場合には給料の差し押さえなどが可能になってしまいます。
思ったように借金が減らないことも
特定調停には、必ずしも債務者にとって有利とは限らないというデメリットがあります。基本的には将来の利息をカットするだけなので借金が思うように減らないことも多く、最悪の場合には借金が増えてしまう可能性もあります。
不調に終わる可能性がある
特定調停は、あくまでも裁判所を通した話し合いの場所です。そもそも調停が成立するのは申立件数の約3%と言われており、不調に終わる可能性も大いにあります。不調の場合は、個人再生か自己破産の手続きをとることになります。
特定調停が向いている人
- 借金の総額がそこまで多くなく、利息カットで返済可能な人
- 裁判所を通した手続きで、債権者と直接交渉したくない人
- 自己破産を避けたいが、費用を抑えて借金を整理したい人
- 財産を維持しながら債務整理を進めたい人
【種類別】毎年どのくらいの人が債務整理している?
一般的に最も利用されているのは任意整理です。正確な件数は明らかになっていませんが毎年約150~250万人が利用していると言われています。
次に利用されているのは自己破産で毎年約7万件、次に個人再生で1万件ほどです。
特定調停は、ピークの2003年頃にはおよそ30万件の申し立てがありましたが、2017年には3000件ほどに減少しています。成功率も15%ほどと言われており、あまり人気のない手続きと言えるでしょう。
最も選ばれている債務整理は任意整理、次が自己破産です。
ここからは、任意整理、自己破産、個人再生のそれぞれのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。
その前に、どんな基準で手続きを選べばいいのか、その考え方をお伝えします。
債務整理の種類の選び方
債務整理をしようと思った際、おすすめなのはまずは任意整理を考えてみることです。任意整理をした際のひと月当たりの返済額が自分に合っていると感じるならば、デメリットの少ない任意整理がおすすめ。
任意整理で将来の利息をカットしただけでは、到底3~5年では返せないという方は、次に個人再生を考えてみてください。
そして最終手段として自己破産を考えましょう。
ただし、上記の考え方はあくまで一般的なものであり、状況は個人によって異なるので、本当に自分にあった債務整理を選ぶには、専門家に相談するのがおすすめです。
▼債務整理の金額の目安についてはこちらをご参照ください
債務整理の金額はいくらから?基準額について解説
4種類以外の債務整理
借金の減額という目的以外の債務整理も存在します。過払金返還請求、消滅時効の援用、そして相続の放棄・限定承認です。
過払金返還請求
過払い金請求は、任意整理や個人再生、自己破産と併せて行われる手続きで、借金返済時に払っていた利息のうち法律の上限を超えた分を取り戻すことができます。完済している場合は、ブラックリストに登録されることもないため、デメリットが少ないのが特徴です。
▼過払い金請求について詳しくはこちら
過払い金請求とは?過払い金の仕組み・発生条件をわかりやすく解説
消滅時効の援用
消滅時効の援用とは、債権者が一定期間返済を求めてこなかった場合、「時効なので今後は返済をしません」と主張することです。
貸金業者からの借入れの場合,最終の取引日から5年以上経っていれば,消滅時効を援用できます。
相続の放棄・限定承認
相続の放棄・限定承認とは、相続したときにマイナスの遺産がある場合にはその相続債務を引き継がないようにするための法的手続きです。
法人の債務整理の種類とは
事業者・法人の債務整理は、5種類あり、破産、特別清算、民事再生、会社更生、任意整理があります。
個人の債務整理と同様に、任意整理のみが裁判所を通さない私的整理で、ほかの4つは裁判所を通す公的整理と分類されます。
まずは、事業を継続しながら負債の整理をするか、会社を清算して人生の再スタートをする自己破産かのどちらかを選択をすることになります。
債務整理の種類に迷ったときは
債務整理は、種類がいくつかあるため、どの手続きが自分に合っているか悩んでしまうかもしれません。
基本的には、まず任意整理を考え、次に個人再生、最終的にダメなら自己破産という順番ですが、個人の状況によっても異なります。
迷ったときは、専門家に相談するのがおすすめです。債務整理の法律相談は、無料で行っている事務所も多いので相談してみましょう。
債務整理するなら実績の豊富な事務所がおすすめ
債務整理ができる弁護士・司法書士事務所はたくさんあり、どれも同じように見えますよね。
しかし、安易に事務所を選んでしまうと、途中で信用できなくなったり損する結果になったりして、嫌な思いをする可能性もあります。
そこで、損するリスクを回避して、スムーズに債務整理をするための事務所選びのコツを2つご紹介します。
債務整理に特化した事務所を選ぶ
相談するなら債務整理に特化した司法書士・弁護士事務所がおすすめです。借金問題を専門として扱う事務所は、実績が豊富で、きちんと対応してくれる傾向にあります。
利用する安心感も違いますし、解決のスムーズさも違うでしょう。トラブルに巻き込まれるリスクも減らすことができます。
相談が無料の事務所
わざわざ事務所へ出向き、お金をかけて債務整理の相談をしても、借金減額に至らなければ損をするだけになってしまいます。
債務整理は、法律相談を無料で行っている事務所がおすすめです。
無料相談は質が低いのでは?と心配になるかもしれません。しかし無料相談とはいえ、実際に利用した人の声をきいてみると有料の相談と比べて遜色ありません。
債務整理におすすめの事務所3つ
債務整理の実績が豊富で、相談無料の事務所のなかで、おすすめの事務所を3つ紹介します。
債務整理にも力を入れている事務所です。
どの事務所も全国対応なので、地方の案件でも柔軟な対応が可能です。